不況がもたらした「激安文化」とアベノミクスがもたらした「プチ贅沢」。その二つの文化がお掃除ロボット界にも存在しています。
お掃除ロボでも激安文化の流れから、1万円で買えるお掃除ロボットが続々と登場しています。
掃除機などの家電メーカーではないメーカーも参戦して激安お掃除ロボ市場は激戦区となっています。
今は安いだけは激安競争で勝つことはできないので、各メーカーが安さだけではなく高級お掃除ロボに負けない機能も追加していっています。
今回は、そんな「激安代表のお掃除ロボ VS プチ贅沢代表のルンバ」の検証をしてみたいと思います。さて、本当に良い買い物はどちらでしょうか。
激化した価格競争で今ではお掃除ロボットは1万円を切るようになりました。
ここで代表的な格安ロボットを紹介してみたいと思います。
ツカモトエイム ロボットクリーナー ミニ ネオ AIM-RC03
ツカモトエイム株式会社の商品で、メーカーの正規価格は、12,800円(税別) です。Amazonなどのネット通販を使えば9,000円ほどで購入できます。
AIM-RC03は、スタンダードモデルで基本性能が一通り備わっています。
「らせん走行」「バンパー走行」「壁沿い走行」と3パターンの動作がプログラムされていて広範囲に部屋を掃除してくれます。
「落下防止センサー」「高感度ショックセンサー」もついているので、段差や障害物を検知して掃除します。
Amazonの購入者レビューから、製品の良い点・悪い点をまとめてみました。
【良い点】
コンパクトボディなため、他のお掃除ロボに比べて隙間掃除が得意。
フローリング掃除ならこれで十分。
ペットの毛やホコリ、髪の毛もきれいに掃除可能(フローリングに限る)。
【悪い点】
バッテリーの持ちが悪い(5時間充電で50分稼働)。
バッテリー寿命が短い。
コンパクトボディでパワー不足なのか、ちょっとの段差(絨毯の段差)が乗り越えられない。
センサー不具合か、階段から落ちたり、壁にぶつかってしか方向転換してない。
吸引力も価格相応。
ロボットクリーナー AIM-RC07(N)(ニトリ)
家具・インテリアを販売するニトリが販売するお掃除ロボです。
製造元は、ツカモトエイムです。
値段は、9,515円(税別)です。
機能はシンプルで最低限にとどめ、低価格に抑えることを最重視したモデルといえます。
4時間充電で50分掃除します。バッテリー寿命は、半年~1年と短いですが、過充電防止機能付きでバッテリーの持ちを少しでも向上しようとしています。
床ブラシ付きではないため、フローリング専用のお掃除ロボというふうに割り切った使用をおすすめします。
ごみのあるところを重点的に掃除する自由走行型のお掃除パターンなので、ごみがなくなるまで同じ場所を掃除します。
そのため、電池の消耗は早いし、掃除をしない場所がでてくるので、掃除にムラがでます。
また、「高感度ショックセンサー」と「落下防止センサー」を搭載していて、落下防止センサーは3カ所についていて、4段階で感度を調節できます。
インターネット上のロボットクリーナー AIM-RC07(N)の使用者の意見では、やはり掃除する場所がムラがあるという不満が多く上がっています。
使用するために必要な充電時間についても不満の声が多いです。一方で、吸引力は強めでよくゴミを吸い取るという意見が多いです。
こんな手厳しい意見があるのも事実です。
Q.ニトリのロボットクリーナー(AIM-RC07(N))ってどうですか?購入された方、ご意見よろしくお願いします。
A.自分で掃除機かけた方がはやいしきれいになります…程度の製品です。
掃除する場所にムラが出やすい件については、上位モデルのロボットクリーナー(ファシル2 M-H298)14,191円(税別)であれば、ルンバのファイアーウォールと似た機能である赤外線センサーを利用して掃除する箇所を限定することができます。
この機能を使えば、広い部屋をセンサーでわけることで掃除ムラがでるのを軽減できるかもしれません。
でも、出かけている間に部屋全体が掃除されていないので、お掃除ロボの利点があまりいかせないともいえます。
ちなみに、このロボットクリーナー AIM-RC07(N)は、OEM製品で、ツカモトエイムのecomo robo AIM-RC01と裏面がほぼ同じデザインです。
ツカモトエイムのecomo robo AIM-RC01は、19,810円(税別) です。
約1万の価格差は、ツカモトエイムのecomo robo AIM-RC01は、パステルカラーでかわいらしくデザインされているところをみると、外観のデザイン料の差だと思われます。
それと同等の機能で1万円を切るニトリのロボットクリーナー AIM-RC07(N)はそういった意味ではお買い得といえるかもしれません。
ラクリート CZ-860
バンダイのグループ企業である、CCP(シーシーピー)が販売しています。
公式価格は20,000円(税抜)ですが、Amazonなどでは、8,000円~9,000円前後で購入することができます。
ラクリート CZ-860は、直径270mm、高さ76mmのスリムでコンパクトな薄型ボディです。
回転ブラシは2つついていて、「スパイラル」「ランダム」「壁づたい」の3つの走行パターンで掃除をします。
落下防止センサーもついています。
最大7.5mmまでの段差を乗り越えることも可能です。
4時間充電で50分使える点も、さきほど紹介した二つのお掃除ロボと同等です。
このラクリート CZ-860が、他の2つの格安お掃除ロボと大きく違う点は、縦置き充電というところです。
縦置き充電なので、充電時に場所をとらないという利点があります。
ルンバのように自分で充電しに行って、充電できたらまた始動するということはありませんが、他の格安お掃除ロボにもそのような機能はついていないので、それならば、充電スペースが省スペースなほうがいいかもしれませんね。
Amazonの購入者レビューから、製品の良い点・悪い点をまとめてみました。
【良い点】
ゴミが想像以上によくとれている。
他のお掃除ロボよりも薄型なので、高さがあまりない隙間にも入って掃除してくれる。
【悪い点】
「バッテリーの消耗が激しく使用開始から2か月で使い物にならなくなった」
「10回ほど使用したら、バッテリーが消耗してしまい15分しか動かなくなった」など、バッテリーの早期消耗のトラブルが多数報告されています。
吸引力が弱い。
同じところばかり掃除しだすという不具合も多数報告されています。
音がうるさい。
良い点にも悪い点にも吸引力の話があがっているので、吸引力に関しては主観の評価が入りやすいように思います。バッテリートラブルがかなりたくさん報告されていたのと、同じところを掃除し続けるという不具合も目立ちました。
1万円以下で購入可能なお掃除ロボをみてきましたが、プチ贅沢代表のルンバの価格をみてみたいと思います。
ルンバ最新機種のメーカー公式価格は、最上位機種の900シリーズは、ルンバ980で125,000円(税抜)。
ルンバ885が、84,000円(税抜)、ルンバ876が74,000円(税抜)です。
ルンバの中ではリーズナブルな600シリーズのルンバ654で、54,000円(税抜)です。
ネット通販で購入したとしても、約15,000円~20,000円引きがせいぜいといったところです。ルンバ654については、もともと高級なルンバシリーズの中のお値打ちモデルということで、ネット通販を利用しても51,000円くらいの価格となっています。
格安お掃除ロボに対して4万円以上も差があります。プチ贅沢というよりは、単純にルンバは贅沢品といった方がいいかもしれません。
この値段の差はなんでしょうか?ただ高いだけのルンバならば、格安お掃除ロボのほうがお買い得といえます。
でも、さきほど紹介した格安お掃除ロボット3機種の感想の中には、「結局ルンバを買いました」というコメントも多く見られました。
圧倒的に高いルンバですが、価格の安さ以外の部分で格安お掃除ロボ以上の魅力があるのだと思います。
それは何でしょうか。
以下にまとめました。
ルンバの最新人気機種 ルンバ885と、格安お掃除ロボの差を比較してみたいと思います。
ルンバ | 格安お掃除ロボ | ||||
人工知能 iAdaptR(アイアダプト)搭載。
数十のセンサーが情報収集し、高速応答プロセスが毎秒60回以上の状況判断。40以上の行動パターンからルンバ自ら選択して掃除。 |
人工知能ではなく、動きを3パターンのみプログラミング。
「らせん走行」「バンパー走行」「壁沿い走行」など。 |
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3時間充電60分稼働 自動充電あり |
4時間充電50分稼働 自動充電なし |
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吸引機構AeroForceR(エアロフォース) クリーニングシステム 搭載
吸引する際の気流を最適化。エアロフォースのゴムスティック形状と合わさることでルンバ内に真空状態をつくりだして吸引力を大幅にアップさせています。 |
2つのブラシでゴミを掻きだして吸い上げる機構。 | ||||
スケジュール機能搭載 1日1回、15分単位で掃除開始時間や曜日まで指定。 |
最安モデルにはスケジュール機能なし。
上位モデルには、毎日決まった時間を指定できる機種もある。(曜日指定はなし)。 |
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充電池リフレッシュ機能 充電池でありがちな、「メモリー効果」という現象を直します。バッテリー寿命とは無関係。 |
メモリー効果によるバッテリー不具合も多数ありそうでしたが、リフレッシュ機能がないため、電池を使いきってから充電する必要があります。 | ||||
これだけ機能や性能に差があれば、価格の差も納得といえるかもしれません。
格安お掃除ロボとルンバを比較して、安いお掃除ロボットを買ってはいけない3つの理由が見えてきたのでまとめたいと思います。
格安お掃除ロボは、毎日使えないという意見が多く、使い方を工夫している人が多かったです。
なぜ毎日使えないかというと、バッテリーの品質が価格相応なためか、バッテリーの消耗が著しく、バッテリーを長持ちさせるために使用頻度を減らすしかないようです。
また、お掃除ロボが自分で判断して充電しに行く機能がないため、お掃除ロボットに期待する外出中の掃除が効率よく行えないので、毎日使わない人もいました。
また、掃除自体の質もルンバに比べると劣ると言わざるを得ないです。
人工知能が搭載されているわけではないので、気休め程度の掃除にしかなりません。
ルンバのように人間の掃除のかわりにはなりえないことも、格安お掃除ロボットの欠点といえます。
そして、バッテリー寿命と価格の関係だけを考えてもルンバのほうがコストパフォーマンスが良いのです。
格安お掃除ロボのバッテリー寿命はもって半年~1年ほどとなっています。別売りのバッテリーは5,000円ほどしますので、なかなかバッテリー交換をしてまで使う気になれないようです。
だから、お掃除ロボットを使う機会を減らさざるを得ないともいえるかもしれません。
ルンバ885のバッテリー寿命は6年です。公式価格の90,720円で計算しても1年あたり14,000円ほどの費用ということです。
さらに、ルンバはユーザーサポートも充実しています。
ルンバ885であれば、「アイロボットケア ルンバ885/875バリュープラン」もついてきますので、購入から10か月後に専門スタッフがルンバをリフレッシュした状態にメンテナンスしてくれます。
格安お掃除ロボのほとんどは、メーカー保証が1年ついていますが、メンテナンスのサービスはなく、保証期間内のバッテリー消耗による動作低下についても、バッテリーの摩耗は故障ではなく、メーカー保証の範囲外として無償修理にも応じてもらえなかったという書き込みもありました。
圧倒的に高い掃除能力で毎日掃除可能なルンバと、たまにしか使えない格安お掃除ロボで、1年あたりにかかるコストの差は、4,000円ほどで、あまり変わらないことになります。
購入から1年以内の使用頻度を考慮すれば、おそらく格安お掃除ロボットは1年内にバッテリー交換が必要になるため、その4,000円の差はすぐに取り返せてしまうと思います。
最新のルンバは2年目以降も使えますが、格安お掃除ロボは2年目以降使うのが困難か、1年ごとにバッテリー交換をする、また、不具合もでやすいため買い替えが必要になってくることが想定されます。
もしも、バッテリーを1年おきに買い替えたとして、6年使うとしたら、格安お掃除ロボットは2年目以降で、バッテリー代だけで25,000円ほど余分に費用がかかることになります。
毎日使えないうえに、掃除の完成度も低く、レビューをみると1年内の故障がとても多い印象を受けました。残念ながら、格安お掃除ロボを6年使い続けることは困難と思われます。
お掃除ロボットを購入する人がお掃除ロボットに望むことは、人間に変わるレベルのお掃除を毎日してほしいということだと思います。
掃除は毎日したいけれど、自分で掃除をする時間がない、余裕がない時に、自分が出かけている間に自分以外の人に掃除をしておいてほしいというのがお掃除ロボット購入を考える一番の理由ではないでしょうか。
初期投資額に随分と差があるため、ついつい安いほうの格安お掃除ロボットに手をだしてしまいがちですが、長く頻繁に使用する前提でトータルコストを考えるとルンバの方が経済的で掃除能力が高いということになります。
ルンバ(iRobot)
元祖掃除ロボットメーカーのiRobot社。大人気のルンバはシェアNo.1。
ココロボ(シャープ)
シャープが開発した純国産のお掃除ロボット。プラズマクラスター搭載
スマーボ(東芝)
日本発の東芝製お掃除ロボット、その名はスマーボ。
コーボルト(フォアベルク)
ドイツの掃除機メーカー、フォアベルクのコーボルトが日本上陸。
ロボットクリーナー(ツカモトエイム)
ニトリや日本直販で売られている掃除ロボット。キティちゃんモデルも。
ラクリート(CCP)
CCPのラクリート(LAQULITO)シリーズは省エネ設計の自動掃除ロボット。
クレモン(モニュエル)
「トレたま」でも紹介されたお掃除ロボット「クレモン」シリーズ。
ホームボット(LG電子)
韓国の電機メーカー、LG電子がついに掃除ロボットを開発。
マミロボット(マミロボット)
韓国のマミロボット社は、カラーバリエーション豊富な6色展開。
ロボクリーナー(ANABAS)
ユニーク商品を手がけるANABAS社の除菌もできるロボクリーナー。
E-CLEAN(ASUS)
PCメーカーとして知られるASUSの子会社が作るロボット掃除機。
その他メーカー
スリーアップ のモッピー(MOPPY)など、さまざまなメーカーの掃除ロボット